サッカーを愛する人々によって1978年に始まった「東北ユースサッカー大会」。初開催から10年後の1988年に「カメイカップ」と名前を変え、今日まで東北地域のユースチャンピオンを決定する場となっています。今では、Jリーガーや日本代表選手を輩出する若手の登竜門として、東北サッカー少年の憧れの舞台でもあります。
初日の10月12日(土)には宮城県サッカー場で予選ブロックリーグが、その翌日10月13日(日)には、ベガルタ仙台の本拠地であるユアテックスタジアム仙台で決勝戦が、ベガルタ仙台泉パークタウン練習場で3位以下の順位決定戦が行われました。
10/12(日)予選ブロックリーグ
■Aグループ
福島 | 岩手 | 宮城 | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失 | 順位 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
福島 | - | 4-0 | 1-4 | 3 | 5 | 4 | 1 | 2 |
岩手 | 0-4 | - | 1-5 | 0 | 1 | 9 | -8 | 3 |
宮城 | 4-1 | 5-1 | - | 6 | 9 | 2 | 7 | 1 |
■Bグループ
青森 | 秋田 | 山形 | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失 | 順位 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
青森 | - | 3-1 | 2-3 | 3 | 5 | 4 | 1 | 2 |
秋田 | 1-3 | - | 1-1 | 1 | 2 | 4 | -2 | 3 |
山形 | 3-2 | 1-1 | - | 4 | 4 | 3 | 1 | 1 |
10月12日の予選は、Aブロックが福島県選抜・岩手県選抜・宮城県選抜、Bブロックが青森県選抜・秋田県選抜・山形県選抜でリーグ戦が行われました。
Aブロック初戦、宮城対福島は4対1で宮城、続いて岩手対宮城は1対5で宮城、次の福島対岩手は4対0で福島が勝利し、結果Aブロックからは宮城県選抜が決勝進出となりました。
Bブロックは初戦、青森対山形が2対3で山形、続く秋田対山形は1対1で引き分け、次の青森対秋田は3対1で青森が勝利、大会規約により勝ち点の多いチームが上位となるため、Bブロックからは山形県選抜が決勝へと駒を進めました。
近づく台風の影響で大雨が降る中、午後1時、宮城県選抜対山形県選抜による決勝戦がキックオフ。2014年東北ナンバーワンを決する戦いの火蓋が切られました。
雨の影響でピッチコンディションが厳しい中、試合開始早々から激しいボールの奪い合いが展開されます。前半5分、山形は背番号13番剱持麟太郎選手から背番号7番吉田樹選手にセンタリングを上げてゴールを狙いますが、これは惜しくもクロスバーの上へ。前半8分には宮城の背番号9番浅田郁将選手が、相手ディフェンダーからボールを奪いシュートを試みるものの、失敗。前半22分には、宮城は背番号7番の荒井秀賀選手のミドルシュートでゴールをおびやかします。山形も前半28分に得たフリーキックで先制点を狙いますが、ゴールポストに阻まれます。
宮城の守りは固く、ボランチの動きもフレキシブル。やや宮城が優勢に見えながらも、山形も固く守るだけでなく攻撃も積極的に仕掛け、お互い一歩も譲りません。決勝戦にふさわしい、じりじりとした熱戦を動かしたのは、山形背番号8番の沓澤優真選手でした。前半30分、左サイドからのセンタリングをヘディングで合わせ、先制点。
その後、前半38分には、宮城背番号16番の水沼響選手がロングパスで抜け出し、シュートが決まったか!?というようなシーンはあったものの、オフサイドの判定。山形1点リードのまま前半戦が終了しました。
激しかった雨も止み、試合は後半戦へ。やはり1点を先制しているからか、山形が開始早々から短いパスを回しながら、ゲームのペースを握ります。
後半6分、コーナーキックを山形背番号7番吉田樹選手がヘディングで合わせて、2点目を獲得。さらに続く後半8分には、山形の背番号13番剱持麟太郎選手がドリブルで上がっていき、ディフェンスの隙を突いてミド ルシュートを決め、3点目。
3点を追う宮城は、その後フリーキックのチャンスを得るものの、山形の壁にはじかれてしまいます。そこから得たコーナーキックもうまく活かすことができません。そして後半21分。途中出場の宮城背番号15番の斎藤耕太選手がペナルティーエリアで相手のファウルを誘い、PKのチャンスを作ります。これを宮城背番号7番荒井秀賀選手が決め、宮城は1点を返します。その後も宮城は、背番号11番の郷家友太選手を攻撃の起点に攻めますが、決定打に乏しく、チャンスを活かしきることができません。後半40分にも、宮城背番号7番荒井秀賀選手がフリーキックからのゴールを狙いますが、これはポストの上。ゴールネットを揺らすことはできませんでした。
結局、少ないチャンスを確実にものにした山形県選抜が3対1で宮城県選抜を下し、2年ぶりの優勝を果たしました。
前回大会では決勝進出を逃した山形県選抜が雪辱を果たし、2年ぶり6度目の優勝を飾りました。
大会MVPには山形県選抜のミッドフィルダー貝山龍平選手が選ばれ、トロフィーと記念品が授与されました。ベストイレブンには、山形県選抜の貝山龍平選手、吉田樹選手、枝松大夢選手、剱持麟太郎選手、高山颯斗選手、宮城県選抜の阿部空矢選手、荒井秀賀選手、郷家友太選手、福島県選抜の坪佳侑選手、宗方司選手、そして青森県選抜の田澤塔也選手が選ばれました。
山形県選抜 高山颯斗選手 背番号1 GK今回は、「とにかくみんなで楽しくやろう」とピッチに立ちました。県選抜ですが、小学校の時からほぼこのメンバーでやっていますので、チームの絆は深いと思います。決勝戦では、味方が先制点を取ってくれたのがよかったです。こういう環境でサッカーができるということでモチベーションも上がりますし、メンタル面の強化にもつながると思います。まずはこのメンバーで国体での上位を目指して、さらに将来は海外のビッグクラブチームでプレーできるようにがんばりたいです。 |
山形県選抜 貝山龍平選手 背番号10 MFこの大会は、どの選手も個人の能力が高くて、なかなか簡単にはいきませんでしたが、チームの連携力で優勝することができました。決勝戦は最初は不安だったけれど、お互い声をかけあって波に乗ることができました。今回、MVPをもらうことができてすごくうれしいんですけれど、自分はまだまだだと思うので、一生懸命練習して、将来プロを目指します。 |
山形県選抜 剱持麟太郎選手 背番号13 MFいつも通り、とても楽しくプレーすることができました。しかも優勝できたので、本当にうれしいです。このチームは、声をかけあってお互い助け合えるいいチームなんです。この大会を通して、絆はさらに深まりましたし、自分自身も成長することができたと思います。これをきっかけに、まだまだ上を目指してがんばっていきたいと思います。 |
準優勝の宮城県選抜 小浜博コーチ決勝戦は、チームのいいところと悪いところが如実に出ました。彼らのいいところは、県選抜でありながら、非常に連帯感が強いこと。悪いところは、自分たちのペースに持ち込むことができず、苦しい展開になった時にどう改善するか考えられないこと。選手のポテンシャルは高いので、これもいい経験として、来年の国体で上を目指していきたいと思います。 |
宮城県選抜 阿部空矢選手 背番号3 MF東北各県の選抜選手ということもあって、とてもレベルが高かったと思います。その中で決勝までこられたのはよかったのですが、負けてしまったので残念です。守備も攻撃も、自分たちの思うサッカーができなかったのが原因だと思います。 |
宮城県選抜 荒井秀賀選手 背番号7 MF予選は、全員が同じ方向を向いて戦った結果、福島戦で4点、岩手戦でも5点取ることができました。でも、今日の決勝戦はこのユアスタでやるということと、観客がたくさんいることで少し緊張してしまいました。でも、このピッチに立てたことは、これまでの努力の結果だと思いますので、決してこの結果は悪くないと思っています。 |
宮城県選抜 郷家友太選手 背番号11 MF今日は、雨ということもあってピッチのコンディションが悪く、自分たちのプレーにズレが生じてしまいました。相手よりも精度が落ちたのが、攻めきれなかった原因だと思います。予選と比べても、自分のプレーができなかったことが悔しいです。ただ、最後に(斎藤)耕太(選手・背番号15)を走らせるプレーができたのはよかったと思います。 |
優勝の山形県選抜 竹田昌宏監督
選手一人ひとりは、ものすごく能力があるというわけではありませんが、足りない部分をお互いカバーできるとてもいいチームになったと思います。今日、こうして優勝することができたのも、チームがきちんとまとまっていたから。個々の選手は、所属チームで宮城選抜の選手たちと当たって負けているようで、その悔しさもバネになったのかなと思います。とにかく、選手たちは「やってやる、上に行く」という気持ちが強かったですね。今は、「よくやった!お疲れ様でした」と声をかけてあげたいと思います。また、このメンバーで、国体を目指しますので、これを糧にまた上を目指したいと思います。