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日本の蔵王ヒルクライム・エコ2017開催

 5月21日(日)、蔵王エコーライン・蔵王ハイラインを舞台に行われる自転車のロードレース「第6回日本の蔵王ヒルクライム・エコ2017」が開催されました。この大会は、蔵王に春を告げる恒例イベントなのですが、この日は朝から晴天で初夏を思わせる気温まで上がりました。道路も完全に乾いており、エントリーした1,019名のサイクリストにとっては絶好のコンディション。最年少は中学3年生の15歳、最高齢は秋田から参加の83歳男性。そして、女性は58名で、年代別クラスに分かれてレースを繰り広げました。
 この自転車レースは、蔵王町の認知度向上、さらには雄大な自然を誇る蔵王連峰の環境保全に配慮したエコスポーツを開催することで、「環境保全宣言の町」としての取り組みをアピールすることを目的としています。また、交流人口の増加や地域経済の活性化も大会開催の狙いとしており、カメイは今年もこの主旨に賛同し、「日本の蔵王ヒルクライム・エコ2017」に特別協賛しました。
 そして、この大会は「ツール・ド・美ヶ原高原自転車レース大会」「矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシック」「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」とともに「4大ヒルクライム大会」と呼ばれ、“エコーラインを制する者は全国を制す”といわれるほど、サイクリストにとってはシーズンを占う重要なレースとなります。

カラフルなウエアに身を包んだ選手が続々と

 開会式直前、会場周辺にはカラフルなレースウエアに身を包んだ選手たちが続々と集まってきます。見知らぬ同士でも自転車という共通の話題があるため、あちこちで談笑の輪ができていました。また、今年は地元飲食店の協力のもと、玉こんにゃくや焼きそば、たこ焼きなどの屋台が出店し、大会会場を盛り上げました。
 レースは、蔵王ロイヤルホテル前の大鳥居からスタートし、蔵王山頂までの全長18.7km(標高差1,334m)のフルクラスで行われます。平均勾配7.1%、最大勾配12%となっており、国内ヒルクライムレースの中では最も難関とされるコースで、多くのサイクリストのチャレンジ精神をかきたてます。
 開会式では、大会会長の村上英人蔵王町長が「ようこそ蔵王へ!この『日本の蔵王ヒルクライム』は、東北唯一のヒルクライムで、蔵王に春を告げるイベントです。新緑の残雪の残る蔵王の美しい景色を堪能してください。先ほど山頂へ行ってきましたが、気温は16度、快晴で素晴らしいコンディションです。皆さん、頑張ってください!」と、開会を宣言しました。
 次に、宮城県サイクリング協会太田廸夫副会長からレースについての注意事項と、コースコンディションの説明があり、続いて司会者から、チャレンジコースに参加する北京パラリンピック銀メダリストでリオパラリンピック6位の石井雅史選手が紹介されました。ステージに登壇した石井選手は「毎回出場させていただいており、感謝しています。皆さん、頑張りましょう!」と挨拶しました。
 そして、開会式の終了とともに、いよいよ選手たちはスタートラインへと移動します。

大鳥居をくぐって、山頂めざし出走!

 7時30分。まず、フルクラスのロードレーサーチャンピオンクラス、ロードレーサー男子Aクラス、ロードレーサー男子Bクラスの選手170名がスタートします。続いて、ロードレーサー男子Cクラス210名、男子Dクラス170名と、全10クラスに分かれている選手たちが続々とスタートを切ります。沿道には家族や友人ら、地元の人たちが「頑張って!」「いってらっしゃい!」と、選手たちに大きな声援を送ります。
 風を切りながら、選手たちは蔵王の曲がりくねった道を登ります。新緑に囲まれた美しいコースは、まさにこの時期ならではのもの。しかし、標高が高くなるにつれて緑は少なくなり、残雪が見え始めます。ここで、九十九折れカーブとなり、11.8km地点の賽の河原付近からは、なだらかな直線が続きます。給水所のある標高1,386mの駒草平付近には蔵王名物の『雪の壁』が現れます。そして、その先には蔵王連峰のシンボル・御釜へ通じるハイライン。この道路は自動車専用道路のため、通常は自転車で走ることはできませんが、大会のときだけは特別に走行が可能で、参加選手に与えられるご褒美といえるでしょう。ゴール地点は、雄大な大パノラマが広がる蔵王山頂。エメラルド色に輝く御釜と新緑、そして残雪。美しい初夏の蔵王の景色が、レースで消耗した選手たちを癒やしました。

チャンピオンクラスはなんと2連覇!

 レースを終えた選手たちは、ゴールした順に、途中休憩をはさみながら下山します。徐々に上がった気温は、山頂で25度、下界ではなんと31度に。まるで夏を思わせる陽気に、選手たちも体力を消耗したようです。
 今回初参加した専門学校生の戸田優貴さんは「高校2年生のときにアニメの影響で自転車を始めました。レースは初めてでしたが、楽しかったですし、とてもコースがきれいで驚きました。今日は家族も応援に来てくれましたし、何よりレース後の豚汁が最高においしいかった!」と話してくれました。また、同じく初参加で東京から来たドウル・アーロンさんは「僕はオーストラリアの出身で、国ではマウンテンバイクの試合に出たことがあります。でも、ヒルクライムのレースに参加するのは初めてでした。初めてのレースがここ蔵王で本当によかったです」と話していました。アーロンさんと一緒にレースに参加したポーランド出身のマルコスキー・マレクさんは「とにかくキツかった!でも、景色がすごくきれいで、レース終了後、山頂から景色を見ながら下りてきたときは最高でした」と笑顔。戸田さんもアーロンさんもマレクさんも、そしてほかの選手たちも堪能したのが、地元のレストラン「アトリエデリス」の料理人が仕込んだ豚汁です。蔵王の豊かな自然が育んだ食材を使った豚汁に、選手の皆さんは舌鼓を打ち、疲れた体にエネルギーを補給しました。

 そして、表彰式です。チャンピオンクラスの優勝者は、山形県から参加した山形大学の嘉瀬峻介さんで、前回大会に続き2連覇を達成しました。記録は、57分21秒と、1時間を切る好タイムをたたき出しました。嘉瀬さんは「連覇を狙っていたので、イメージ通りにいきました。最後、一番キツイ賽の河原のところでは仕掛けようと思っていて、それがうまくいきました。昨年の記録には及びませんでしたが、独走状態でゴールできたのでよかったと思っています。また来年も狙っていきたいですね」と話してくれました。
 嘉瀬さんには、遠刈田系のこけし工人が作った“こけしと自転車”がついた、蔵王町ならではのトロフィーが贈呈されました。また、遠刈田温泉の宿に泊まれる宿泊券20,000円分、さらには、協賛企業から提供されたグッズも贈られました。

 地元の方々をはじめ、たくさんの関係者、参加選手に支えられた「日本の蔵王ヒルクラム・エコ2017」。 来年5月の大会には、より多くのサイクリストが参加し、この自然豊かな蔵王を堪能してくれることを期待したいです。

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