HOME >> お知らせ >> 日本の蔵王ヒルクライム・エコ2016開催

日本の蔵王ヒルクライム・エコ2016開催

 5月15日(日)、快晴の蔵王を舞台に開催された「第5回日本の蔵王ヒルクライム・エコ2016」。前年が蔵王の火山性活動の影響を受けて中止となっていたため、2年ぶりの開催となりました。心配された天気も、関係者全員の願いが空に届いたのか、カラリとした晴天です。道路も完全に乾いた、サイクリストにとってベストコンディションの中、1040名が年代別クラスに分かれてレースを繰り広げました。
 この自転車レースは、蔵王町の認知度向上、さらには雄大な自然を誇る蔵王連邦の環境保全に配慮したエコスポーツを開催することで「環境保全宣言の町」としての取り組みをアピールすることも目的としています。その上で交流人口の増加や地域経済の活性化も大会開催の狙いとしており、カメイは、今年もこの主旨に賛同し、「日本の蔵王ヒルクライム・エコ2016」に特別協賛しました。
 そして、この大会は「ツール・ド・美ヶ原高原自転車レース大会」「矢島カップMt.鳥海バイシクルクラシック」「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」とともに「JCA全日本ヒルクライムシリーズ戦」及び、4大ヒルクライム大会とされていることから、全国から多くのサイクリストが参加してくれました。

レース前は、アップや談笑をする選手たちの姿が…

 開会式前、会場周辺には色とりどりのレースウエアに身を包んだ選手たちが集まってきました。見知らぬ同士でも、自転車という共通の話題があるため、あちこちで談笑の輪ができていました。このレースは、蔵王ロイヤルホテル前の大鳥居をスタートし、蔵王山頂までの全長18.7km(標高差1,334m)を一気に駆け上がります。平均勾配7.1%、最大勾配12%となっており、国内ヒルクライムレースの中でも、最も難関であるといわれており、多くのサイクリストのチャレンジ精神をかきたてます。
 さて、開会式では、蔵王町の観光キャラクターとして人気の『ざおうさま』も登場し、選手たちにエールを送りました。大会会長である村上英人蔵王町長が「ようこそ蔵王へ!昨年は火山性活動の影響で中止となりましたが、今年は安心安全を第一に準備を進め、今日を迎えることができました。元気な蔵王をここから発信していきたいと思います」と、開会宣言をしました。さらに、大会名誉会長である村井嘉浩宮城県知事も「全国から多くの方にご参加いただいたことにお礼申し上げます。雪の回廊を通って御釜まで、充実感を得られる大会となることを祈念しています」とあいさつされました。
 次に、宮城県サイクリング協会太田廸夫副会長からレースについての注意事項と、コースの状態の説明がありました。そして、司会者から、チャレンジコースに北京パラリンピック銀メダリストでリオパラリンピックへも出場が決まった石井雅史選手が参加することが告げられました。石井選手は「1回目から招待していただいて以来、毎回出場させていただいております。この蔵王から元気をもらって、秋のパラリンピックもがんばりたいと思います」とあいさつされました。 そして、開会式の終了とともに、選手たちはスタートラインへと移動していきました。

大鳥居から御釜を目指して、いよいよ出走!

 7時30分。まず、フルクラスのロードレーサーチャンピオンクラス、ロードレーサー男子Aクラス、ロードレーサー男子Bクラスの選手たちがスタートします。続いて、ロードレーサー男子Cクラス、男子Dクラスと、全10クラスに分かれている選手たちが続々とスタートを切ります。沿道には家族や友人など、応援に駆けつけた人たちが「がんばって!」「いってらっしゃい!」と、選手たちに大きな声援を送っていました。
 薫風を体いっぱいに感じながら、選手たちは蔵王の曲がりくねった道を上ります。新緑に囲まれた美しいコースは、まさにこの時期ならではのもの。しかしながら、標高が上がるにつれて緑は少なくなり、残雪が見え始めます。ここで、九十九折れカーブとなり、11.8kmの賽の河原付近からは、なだらかな直線が続きます。終盤の駒草平付近には蔵王名物の『雪の壁』が現れますが、例年であれば圧倒的存在感を放つ雪の壁も、暖冬の影響で今年は『雪の垣根』といった程度。迫りくるような雪の壁を期待していた選手たちには、少し物足りなかったかもしれません。そして、その先には、蔵王連峰のシンボル・御釜へ通じるハイライン。この道路は自動車専用道路なので、いつもは自転車で走ることができませんが、大会のときだけは特別に走行が可能となります。ヒルクライムの参加選手に与えられる特権といえるでしょう。ゴール地点は、眼下に雄大な大パノラマが広がる蔵王山頂。美しい初夏の蔵王の景色を、選手たちは堪能しました。

こけしトロフィーが、勝者の証!

 レースを終えた選手たちは、ゴールした順に、途中休憩をしながら下山します。今回初参加となる東北大学の井上旬太郎さんは「新しい自転車を買ったときに、お店の人に勧められてレースの参加を決めました。練習は1ヶ月ほどでしたが、景色を楽しみながら走ることができました。タイムも周りに引っ張られたせいか、思った以上の出来で大満足です。また来年参加したいです」と話してくれました。また、同じく初参加で長野県から来たという内河香奈さんは「ずっとこのヒルクライムには参加したいと思っていました。コースはきつかったですが、楽しかったです。なにより、ゴールした時の景色がキレイで感動しました。また来年参加して、順位をあげたいです」。井上さんも内河さんも、そしてほかの選手たちも堪能したのが、地元の遠刈田の商工会、農協婦人部、食の研修会の方々が仕込んだという豚汁です。蔵王の豊かな自然が育んだ食材、さらに味噌も地元産を使った豚汁に、選手のみなさんは舌鼓を打ち、疲れた体にエネルギーチャージをしました。

 閉会式では、各クラスの表彰が行われました。チャンピオンクラスの優勝者は、山形県から参加した山形大学の嘉瀬峻介さんです。記録はなんと、56分11秒305。1時間を切る快挙に、村上英人蔵王町長も「もしかしたら、オートバイよりも早いんじゃないの?」と、驚きを隠せない様子。嘉瀬さんは「今回初参加です。1時間を切るのが目標だったので、記録には満足しています。ただ、直線の上りとほかの選手との駆け引きはきつかったです。自分が優勝するとは思っていなかったので、正直言ってびっくりしていますが、なにより道路のコンディションがよかったのが勝因だと思います。また来年も参加したいです」と話してくれました。そしてロードレーサー女子フルクラスで優勝した、長野の清水朋美さんは「主人がツアーに参加しているので、私も参加することになりました。優勝は考えていませんでしたが、目標タイムもクリアできましたし、うれしいです」と笑顔をほころばせました。
 嘉瀬さんや清水さんをはじめとする入賞者には、遠刈田系のこけし工人が作った“こけしと自転車”がついた、蔵王町ならではのトロフィーが贈られ、副賞として地元産の名産品なども贈呈されました。さらには、協賛企業から提供されたグッズの抽選会も行われました。

 美しい蔵王の雄大な景色の中、けが人もなく成功裏に終了した「日本の蔵王ヒルクラム・エコ2016」。昨年の大会中止の影響で、今大会は200名ほどの参加者減となりましたが、来年5月の大会には、今大会以上のサイクリストが詰めかけることでしょう。来年、この蔵王でどんなドラマが生まれるのか、ぜひその目で確かめてみてください。

ページの先頭へ